保護者対応の第一歩は「苦手意識」の克服から

保育士の仕事は、可愛い子どもたちと関わることだけではありません。子どもの行動や性格の基盤を形成する家庭と連携し、保護者との間に確固たる信頼関係を築くことが不可欠です。この協力関係なくして、子どもの健やかな成長をサポートすることは難しいでしょう。私たち保育士も人間ですから、「話しやすいな」と感じる保護者がいる一方で、「なんだか苦手だな」という気持ちを抱いてしまう相手がいるのは自然なことです。しかし、その「苦手意識」こそが、信頼関係構築の妨げになります。この記事では、新人保育士や実習生の皆さんに向けて、苦手な保護者と上手に関わるための実践的なアプローチをご紹介します。

まずは「毎日」明るい挨拶から

苦手意識があると、つい声をかけるのを避けてしまいたくなります。しかし、まずは勇気を出して、毎日明るく挨拶をすることから始めましょう。「毎日」がポイントです。

・挨拶は会話のきっかけ: 挨拶を交わすことで、自然と次の会話へとつながるきっかけが生まれます。

・苦手意識の払拭: あなたの明るい態度が、保護者の持つかもしれない「壁」を取り払う第一歩になります。

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子どもの「かわいい」エピソードを積極的に伝える

会話が生まれたら、できるだけ子どものポジティブな側面に焦点を当てて話してみてください。

・具体的なエピソード: 『〜ちゃんはこんな遊びが保育所では好きなんですよ。おうちではどうですか？』や『今日、ままごとでこんな会話があったんですよ！』といった具体的なエピソードは、保護者にとって嬉しい情報源です。

・愛情は伝わる: 子どもを心から「かわいい」と思い、その気持ちを素直に伝えることで、あなたの愛情や誠意が保護者に伝わります。これは関係改善の特効薬です。

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信頼関係を築くためのプロの基本姿勢

保護者対応においては、誠実さが最も重要です。以下の点を常に心がけてください。

1. 分かったふりは絶対にしない

保護者からの質問に対し、知ったかぶりや分かったふりをしてはいけません。曖昧な返答は、後々のトラブルや不信感の原因となります。

2. 分からないことは素直に伝え、責任を持って確認する

もし質問されて分からないことがあれば、「私はまだ分からないのですが、他の経験豊富な職員に確認して、改めてお伝えしますね」と正直に伝えましょう。その場では答えられなくても、後日、責任を持って正確な情報を伝えることで、誠実さが伝わり、かえって信頼につながります。

3. 子育てに関する個人的な意見を強く 主張しない・否定はしない

保護者にはそれぞれの家庭の教育方針や価値観があります。子育てについて、自分の意見や「こうすべき」といった考えを強く押し付けたり、否定したりするのは避けましょう。相手の意見を尊重し、まずは「聞く姿勢」を持つことが大切です。

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マイナス面を伝えるときの「3対1の法則」

日々の保育の中では、お友達を叩いてしまった・噛んでしまった等の報告など、マイナス面を伝えなければならない場面も出てきます。そんな時は、伝え方に工夫が必要です。

・ポジティブ・サンドイッチ: プラス面を3個伝えてから、マイナス面を1つ伝えるイメージで話してみましょう。例えば、「今日はこんなに上手に絵を描いていました」「お友達とこんなやり取りがありました」「こんな素敵なことがありました」と伝えた後で、「とても楽しく遊んでいたのですが、やりとりの中でお友達を叩いてしまって…でもきちんと謝ることができて仲直りしたのですよ」と続けます。

・保護者の不安を和らげる: こうすることで、保護者の不安や不信感を和らげ、保育園での生活全体への信頼を損なわずに済みます。

子どもを真ん中に置いたコミュニケーション

「〜ちゃんはこんな遊びが保育所では好きなんですが、おうちではどうですか？」といった質問は、保護者に関心を示すだけでなく、子どもの情報を共有し合う協力関係を築くことにつながります。

苦手意識は、残念ながら保護者にも伝わってしまいます。だからこそ、意識的にポジティブなコミュニケーションを重ねていくことが大切なのです。子どもを真ん中に置いて、その健やかな成長という共通の目標に向かって協力する姿勢を見せれば、きっと関係は改善するはずです。

保護者対応は経験を積むことで必ず上達します。しかし、ひとりひとりに合わせた対応が求められます。

この記事で紹介した小さな一歩を、ぜひ日々の保育の中で実践してみてください。